日商簿記検定3級講座 講 師 土居 久豊
〔解答〕 〔解説〕
【講評】
皆様、お疲れ様でした。
まず総論ですが、今回の出題は近年より「得点を得やすい」という印象を受けました。
主たる理由として、全体を通じて特段難易度が高いと思われる設問が無いことと第3問において解答に至るまでの処理量が少ないことが挙げられます。
また、ほぼ全ての設問について近年に出題された問題の類題であることから、過去問対策を行われた受験生は戸惑う事無く合格点が得られたものと思います。
次に、設問毎の講評を述べます。
■出題の特徴
〔第1問〕仕訳
2.における当座取引の処理について、当座預金勘定と当座借越勘定の混合勘定である当座勘定一つを用いている点(一勘定制)に留意すれば高得点が得られたものと思います。
〔第2問〕仕訳推定
分記法により記入された勘定から三分法による仕訳を推定する問題です。第109回(平成17年2月実施)及び第113回(平成18年6月実施)の類題です。それぞれの処理方法についての正しい理解がなされていれば、短時間で高得点が得られたものと思います。
〔第3問〕残高試算表作成
頻出の残高試算表作成問題です。解答に至るまでの処理量は多くはありません。集計ミスに留意しながら落ち着いて解答を進めることで高得点が得られたものと思います。
〔第4問〕伝票記入
出題率の高い伝票記入に関する問題です。(2)において、入金伝票で所得税の源泉徴収額を適切に処理できたかがポイントと言えます。勘定科目の選択群が提示されていないことから、入金伝票に記すべき勘定科目についてやや戸惑われた受験生もいた事と思います。「所得税預り金」勘定の使用が適切と考えられますが「従業員預り金」或いは単に「預り金」勘定でも正答となると思います。
〔第5問〕精算表の作成
典型的な精算表の文章問題です。残高試算表欄の一部推定並びに決算日までに判明した事項に、受験生が苦手とする現金過不足の処理が含まれている点に特徴があります。ただし、いずれの処理も過去の出題によって頻繁に問われている内容ですので、対策が出来ていた受験生にとっては高得点を得られた設問だと思います。
■各設問の合格点の目安と合格率
今回の本試験で合格点を得るために必要な各設問の得点の目安は、第1問で12点、第2問で6点、第3問で24点、第4問で4点、第5問で24点とします。
また、合格率は、例年との比較から40%を超える程度と予測します。
■アドバイス
日商簿記3級の受験生の多くは今後、上位の級さらには税理士や公認会計士試験を経て、実務での活躍をゴールに目指されることと思います。その事を前提とし、今後の学習において留意して頂きたい点として「理解の重要性」を挙げさせていただきます。
試験においては、それに対する独特の対策が必要となることは言うまでもありません。但し、それらの試験対策は、あくまでも出題範囲全般に渡る学習内容自体の理解がなされた後に行うべき行為です。学習内容の理解がなされぬまま、安易に解答を得る事だけを手段とし、出題形式を覚えこむ暗記型の学習はナンセンスと言えます。国家試験レベルになれば出題形式は無限に広がり、とても暗記型では対応しきれなくなります。
それに対し、内容の理解を前提とした学習がなされていれば、どの様な出題形式であれ、解答へのアプローチはおのずと正しい方向を向き、結果的に正答を導き出すことができるはずです。理解に重点をおいた学習こそ変則的な出題への対応力さらには実務力も身に付く、王道の学習スタイルと言えます。
仮に、これまでの学習が理解をおざなりとした暗記型の学習であった場合、早期の脱却をお勧めいたします。
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