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第122回 日商簿記検定試験

『講評・模範解答(予想配点箇所を含む)・解説』

1級】 【2級】 【3級

「本講評・模範解答(予想配点箇所を含む)・解説は、東京CPA会計学院・CPAビジネスゼミナールの講師陣並びにスタッフが作成したものであり、模範解答並びに予測配点箇所について、日本商工会議所における実際の解答並びに配点箇所との整合性を当校は何ら保証致しかねます。」

Adobe Reader のダウンロード※解答・解説は、PDFファイルとなっております。こちらのWEBサイトより Adobe Reader のダウンロードをお願い致します。


 

1級

 商業簿記
日商簿記検定1級講座 商業簿記 講 師 渡辺 肇


解答〕  〔解説

【講評】
 受験されました皆様方大変お疲れ様でした。出題されました問題の感想は様々でしょうが、振り返ってコメントさせて頂きます。
 まず、今回の問題は、簿記の手続における簿記の一巡が正しく理解しているか、期中・整理手続における個別取引に関する知識がどのくらい抑えられているのかを問われている問題でした。
 今回の出題問題におけるポイントは次のとおりです。

■出題の特徴
1.前期末の貸借対照表の注記事項
 前期末の貸借対照表は、貸倒引当金、減価償却累計額が直接控除されていることは、注記があることで確認できます。
 また、経過勘定については再振替仕訳を行わなければなりません。
2.売上、仕入系統の勘定分析
 売上、仕入系統の勘定分析をして、受取手形・売掛金勘定の期末残高を計算し、支払手形・買掛金勘定のそれぞれから商品仕入高の推定がありました。
3.リース取引・外貨建(借入金の振当処理、その他有価証券)・退職給付引当金・長期貸付金の貸倒引当金(キャッシュ・フロー見積法)
 過去にもよく出題されていますので確実に点数を獲得しなければなりません。
4.ストック・オプション、貸倒にかかる税効果
 税効果に関しては、深読みせずに税効果の条件があるものだけ行なう。

■アドバイス
 最後に最近の出題は、単に各項目の処理ができれば良いというものではなく、簿記の全体像の理解度を試される傾向になってきています。出題のボリュームも多く、さらに広範囲の知識が求められるようになってきていますので、各項目を正しく理解した上でスピードを身につけるためアウトプットのトレーニングを行うことが効果的と考えられます。


 会計学
日商簿記検定1級講座 会計学 講 師 相田 裕康


解答〕  〔解説

【講評】
 本試験お疲れさまでした。
 今回は,各単元の基本的な問題を中心とした出題でした。

■出題の特徴
 全体的な難易度は平均的だと思います。このような問題の場合には一つのミスが大きな減点になる場合があります。ケアレスミスに注意しながら解答しなければなりません。

 個別的にみると第1問は「純資産の区分」に関する問題です。正誤問題や穴埋問題を予想していたので意外な形式に少々戸惑いました。しかし、純資産に関する仕訳を考えれば解答はできたと思います。
 また、区分は記号で解答するため難易度は低いと思います。

 第2問は「持分法」に関する問題です。理論問題と計算問題とでバランスのとれたよい問題だと思います。理論問題は「明らかに誤っている」との記載があるため、「ア」については明らかに間違っているとは言えません。
 また、計算問題は持分法の基本的問題であり特に難しいところはないと思います。ただ、×1年度の未実現利益を×2年度に実現させることを忘れてはいけません。

 第3問は「ソフトウェア」に関する問題です。これも基本的問題であり特に難しいところはないと思います。ただ、×2年度の減価償却費は見込販売数量で計算した金額が、残存有効期間に基づく均等配分額を下回ることに注意しましょう。

■アドバイス
 今後の学習方法としては、まず過去に出題された問題は必ず一度は練習しましょう。これは受験生としては必須の学習です。また、基本問題は繰り返し練習し理解できるようにしましょう。


 工業簿記
日商簿記検定1級講座 工業簿記 講 師 出雲 透
解答〕  〔解説

【講評】
 本試験お疲れ様でした。今回の工業簿記は、資金繰りからの出題でした。
 資金繰りは、厳しい経済状況下において、各会社が最重要課題に挙げる問題だと思います。ここで資金繰りとは、一定期間における現金の収入と支出から会社内部で資金(現金)がショートしないように管理することです。

■出題の特徴
 本問は、経営状態が改善され資金にゆとりが出来れば返済し、不足すれば融資を受けるという内容です。具体的には、資金にゆとりが生まれ銀行に返済する問題でした。詳しくは解説を参照して下さい。

 この単元は過去に数回出題されており、今回の中身を見ると過去に出された内容をベースに少々手を加えて出題されていることから、過去問をきちんと確認していれば点数を稼ぐことが出来るサービス問題であったのではないでしょうか。また仮に過去問を確認していなかったとしても問題の内容(出題の意図)が把握できれば、満点とまではいかないにしても合格点を狙う事ができたのではないでしょうか。

■アドバイス
  今後は、出題内容を把握する事が出来るよう心がけて下さい。そのためには、暗記に頼った勉強法ではなく、各単元の考え方を理解し、基礎問から演習を行い最終的に過去問のレベルまで知識を深めるようにして事が必要だと思います。また、今回のように製造原価の計算以外の出題も想定されるため、経営分析や管理会計の内容についても確認するようにして下さい。


 原価計算
日商簿記検定1級講座 原価計算 講 師 菅原 洋介


解答〕  〔解説

【講評】
 試験を受けられた皆様、お疲れ様でした。
 原価計算は、大方の予想通り「長期意思決定 設備投資」についてでした。予想の通りではあったのですが、工業簿記との時間配分が少々難しかったでしょうか・・・。

■出題の特徴
 意思決定の比較案は2つあります。1つは「現有設備を使い続け、かつ、新規設備を導入する」。その際、どちらの設備を優先して稼動させるか注意。もう1つは「現有設備を売却し、新規設備のみで生産する」。内容的には難しくないですが、現有設備の稼動を埋没原価にすることを、しっかり行えたかどうかです。

■アドバイス
 今回の出題ですが、工業簿記、原価計算ともに今の時世にあった内容の問いで良かったのではないでしょうか。
 簿記は、実学です。実社会で活躍できる学問なのです。そういう意味で、少しでも実社会に関係ある問題は、勉強した側にも、勉強して良かったと励みになることでしょう。そして、この知識を基にして皆様が活躍すること陰ながら願っております。


 

2級

日商簿記検定2級講座 講 師 加藤 大吾


〔解答: 商業簿記(第1問〜第3問)工業簿記(第4問〜第5問)
〔解説: 商業簿記(第1問〜第3問)工業簿記(第4問〜第5問)

【講評】
 受験生の皆様、お疲れ様でした。
 今回の出題のレベルとしては、平均的なレベルの出題でした。

■出題の特徴
〔第1問〕
 仕訳問題は、基本的な仕訳を問うています。


〔第2問〕
 特殊仕訳帳に関する問題です。各帳簿間の関係と二重仕訳の意味を理解しているかどうかがポイントです。


〔第3問〕
 損益計算書の作成に関する問題です。未処理事項及び決算整理事項も一般的な項目ですが、若干項目が多いのでケアレスミスをしないように順次解答できるかがポイントです。


〔第4問〕
 材料費に関する問題です。総勘定元帳の日付は無視して構わないので、各取引の仕訳と勘定連絡を理解しているかがポイントです。


〔第5問〕
 単純総合原価計算に関する問題です。減損の負担関係に注意すればやさしめの問題です。

■合格点をとるポイント
 第122回の検定試験で合格点をとるためには、〔第1問〕で12点(3問)以上、〔第2問〕で14点以上、〔第3問〕で12点以上、〔第4問〕で16点以上、〔第5問〕で16点以上を取る必要があると思います。

■アドバイス
 商業簿記については、繰延資産、社債、株式会社会計などで、計算方法や勘定科目が変更になった点について、出題が予想されますので、正確な知識をインプットする必要があります。
 また、最近の傾向として「過去問に類似した出題傾向」と「過去問には見られない新しい傾向」の両方の傾向が見られますので、単に暗記するような勉強ではなく、「なぜ、こうなるのか?」と常に念頭に置きながら、理解を中心にするような勉強が必要になると思われます。

 工業簿記についても、標準原価計算・CVP分析・直接原価計算等の出題が最近目立ってますので、全体像をイメージしながら、その他の論点についても過去の出題傾向を参考にして網羅的に対策する必要があります。

 

3級

日商簿記検定3級講座 講 師 土居 久豊


解答〕 〔解説

【講評】
 皆様、お疲れ様でした。
 まず総論ですが、今回の出題は近年より「得点を得やすい」という印象を受けました。
 主たる理由として、全体を通じて特段難易度が高いと思われる設問が無いことと第3問において解答に至るまでの処理量が少ないことが挙げられます。
 また、ほぼ全ての設問について近年に出題された問題の類題であることから、過去問対策を行われた受験生は戸惑う事無く合格点が得られたものと思います。
 次に、設問毎の講評を述べます。

■出題の特徴
〔第1問〕仕訳
 2.における当座取引の処理について、当座預金勘定と当座借越勘定の混合勘定である当座勘定一つを用いている点(一勘定制)に留意すれば高得点が得られたものと思います。

〔第2問〕仕訳推定
 分記法により記入された勘定から三分法による仕訳を推定する問題です。第109回(平成17年2月実施)及び第113回(平成18年6月実施)の類題です。それぞれの処理方法についての正しい理解がなされていれば、短時間で高得点が得られたものと思います。

〔第3問〕残高試算表作成
 頻出の残高試算表作成問題です。解答に至るまでの処理量は多くはありません。集計ミスに留意しながら落ち着いて解答を進めることで高得点が得られたものと思います。

〔第4問〕伝票記入
 出題率の高い伝票記入に関する問題です。(2)において、入金伝票で所得税の源泉徴収額を適切に処理できたかがポイントと言えます。勘定科目の選択群が提示されていないことから、入金伝票に記すべき勘定科目についてやや戸惑われた受験生もいた事と思います。「所得税預り金」勘定の使用が適切と考えられますが「従業員預り金」或いは単に「預り金」勘定でも正答となると思います。

〔第5問〕精算表の作成
 典型的な精算表の文章問題です。残高試算表欄の一部推定並びに決算日までに判明した事項に、受験生が苦手とする現金過不足の処理が含まれている点に特徴があります。ただし、いずれの処理も過去の出題によって頻繁に問われている内容ですので、対策が出来ていた受験生にとっては高得点を得られた設問だと思います。

■各設問の合格点の目安と合格率
 今回の本試験で合格点を得るために必要な各設問の得点の目安は、第1問で12点、第2問で6点、第3問で24点、第4問で4点、第5問で24点とします。
 また、合格率は、例年との比較から40%を超える程度と予測します。

■アドバイス
 日商簿記3級の受験生の多くは今後、上位の級さらには税理士や公認会計士試験を経て、実務での活躍をゴールに目指されることと思います。その事を前提とし、今後の学習において留意して頂きたい点として「理解の重要性」を挙げさせていただきます。


 試験においては、それに対する独特の対策が必要となることは言うまでもありません。但し、それらの試験対策は、あくまでも出題範囲全般に渡る学習内容自体の理解がなされた後に行うべき行為です。学習内容の理解がなされぬまま、安易に解答を得る事だけを手段とし、出題形式を覚えこむ暗記型の学習はナンセンスと言えます。国家試験レベルになれば出題形式は無限に広がり、とても暗記型では対応しきれなくなります。

 それに対し、内容の理解を前提とした学習がなされていれば、どの様な出題形式であれ、解答へのアプローチはおのずと正しい方向を向き、結果的に正答を導き出すことができるはずです。理解に重点をおいた学習こそ変則的な出題への対応力さらには実務力も身に付く、王道の学習スタイルと言えます。
 仮に、これまでの学習が理解をおざなりとした暗記型の学習であった場合、早期の脱却をお勧めいたします。

 

 

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