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第123回 日商簿記検定試験

『講評・模範解答(予想配点箇所を含む)・解説』

1級】 【2級】 【3級

「本講評・模範解答(予想配点箇所を含む)・解説は、東京CPA会計学院・CPAビジネスゼミナールの講師陣並びにスタッフが作成したものであり、模範解答並びに予測配点箇所について、日本商工会議所における実際の解答並びに配点箇所との整合性を当校は何ら保証致しかねます。」

Adobe Reader のダウンロード※解答・解説は、PDFファイルとなっております。こちらのWEBサイトより Adobe Reader のダウンロードをお願い致します。


 

1級

 商業簿記
日商簿記検定1級講座 商業簿記 講 師 渡辺 肇


解答〕  〔解説

【講評】
 試験を受けられた受験生の皆様方大変お疲れ様でした。
出題された問題に関しては、様々な感想をお持ちになっていられるかと思いますが振り返ってコメントして行きます。

■出題の特徴
 今回の問題は、決算整理後残高試算表に記入されるべき勘定科目につき適正な金額を算定する問題でした。


1.残高試算表に関する事項
(1) 原価率の算定(一般ベース・割賦ベース)
(2) 割賦販売
 本問での割賦販売の収益認識基準は、回収期日到来基準を採用しています。当期販売分から生じた貸倒について、回収期日が到来しているのか否かの記述がありませんでした。
 そのため当期販売分の貸倒は、期日未到来の割賦売掛金が回収不能になったと判断し処理しています。
(3) 仮払金
 中間配当をしたときに、支払った金額を仮払金として計上しただけなので、適正な処理をする必要があります。
 また中間配当に係る利益準備金を計上することにも注意しなければなりません。
(4) 仮受金
 手形の割引をしたときに、受け取った手取金を計上しただけなので、適正な処理をする必要があります。
(5) 備品の買替
 処理済みの会計処理を考えることで、決算整理前残高試算表に記載する前払利息、設備購入手形と備品売却益勘定の金額を推定することができます。そこから未処理である支払利息の計算します。
(6) その他有価証券(国債)
 端数利息が取得原価に含まれて処理されているため、この端数利息を除いて処理する必要があります。
(7)自己株式
 本問において自己株式の消却における会計処理をすると、その他資本剰余金が借方残高となります。その借方残高となったその他資本剰余金は、繰越利益剰余金で減額するというところまで適切に処理できるかがポイントとなります。


2.決算整理事項
(1) 商品評価
期末商品(手許商品)に対して棚卸減耗費と商品評価損の計算をする必要があります。
(2) 貸倒引当金の設定
(3) 減価償却
@建物の減価償却費は直接法で処理されていると決算整理前残高試算表から読み取れるため、取得原価を算定し、定額法による減価償却費を計算します。
A期中取得した備品については税法上における新定率法(250%定率法)による償却率を算定し減価償却の計算をします。
(4) 退職給付引当金
基本的な退職給付会計の処理ですので、確実に得点しておきたい箇所です。
(5) 有価証券の評価
上記1で示した『その他有価証券(国債)』の会計処理を考慮する必要があることに注意して下さい。

■アドバイス
 以上、問題の全体を見てすぐに解答を導くことができる箇所がありますので、落ち着いて解答用紙に埋めることが大切です。
 試験時間などを考慮すれば、割賦販売に関わる取引は後で処理し、他の問題から解いて点数を取る方法が最善策と思います。
 やはり、日商一級のレベルになると各項目の処理だけを考えるだけではなく、その項目と結びつく項目との関係を考えて、全体像を把握できていなければ正確に導くことができませんので、今後は仕訳のみでなく、簿記の一巡の流れを頭に置きながら学習することで、更なる効果を生み出すことができます。


 会計学
日商簿記検定1級講座 会計学 講 師 相田 裕康


解答〕  〔解説

【講評】
 今回は、各単元の基本的な問題を中心とした出題でした。
 全体的な難易度は平均的だと思います。このような問題の場合には一つのミスが大きな減点になる場合があるため、ケアレスミスに注意しながら解答しなければなりません。

■出題の特徴
 第1問は基本的な会計処理や会計原則からの出題のため難易度は平均的だと思います。すべて解答できることが望ましいと思います。
 第2問は「税効果会計」に関する問題です。与えられた資料が法人税の課税所得計算に使われる「別表四」形式になっているため、少々、法人税法に関する知識が必要になると思います。また、貸倒引当金・退職給付引当金・償却資産圧縮積立金についてはX2年度における認容額や取崩高がX1年度の超過額や繰入額と同額ではないので注意が必要です。内容よりも与えられた資料を読めるかがポイントになると思います。
 第3問は「社債」に関する問題です。社債の発行・利息の支払・償却原価法の適用・社債発行費の償却等、基本的な処理ができれば解答できると思います。解答する際には千円未満の端数が生じるため、その端数処理が問題になり、問題文の解釈のしかたでは解答に若干の誤差が生じますがこれは許容範囲に含まれると思います。

■アドバイス
 今後の学習方法としては、まず、過去に出題された問題は必ず一度は練習しましょう。これは受験生としては必須の学習です。また、問題は基本的な問題から特殊論点の問題と幅広く出題されるため、受験生にはかなりの負担になると思います。インプット面は一つ一つを理解する学習をし、アウトプット面では時間を計って繰り返し練習することが望ましいと思います。


 工業簿記
日商簿記検定1級講座 工業簿記 講 師 菅原 洋介
解答〕  〔解説

【講評】
 試験を受けられた皆様、お疲れ様でした。
 工業簿記いかがでした?しばらく実際原価計算が出題されておりませんでしたので、「今回は実際原価の問題かなぁ…」なんて予想されていた方、いらっしゃったのではないでしょうか。実は、私自身もその一人でした(笑)。
 いずれにしても、実際だろうが、標準だろうが、そんなことは関係なく、力をつけて試験を受けなくてはならないのは、いうまでもないことですね。しっかり学んでおきましょう。

■出題の特徴
 問1、問2は「資料Tの原価標準」より計算し、問3、問4は「新しく設定した原価標準」より答えを導くというものでした。この新しく設定する原価標準さえ間違わなければ、完答出来たと思います。

■アドバイス
 文章から読み取るのに苦戦する部分もあったという方いらっしゃると思います。そういう時こそ、落ち着いて何度も読み直し、何を言っているのか判断しましょう。苦戦された方、解説で確認してみて下さい。
 お疲れ様でした。


 原価計算
日商簿記検定1級講座 原価計算 講 師 出雲 透


解答〕  〔解説

【講評】
 今回の原価計算は、2問形式で出題されました。
 第1問は工程別総合原価計算、第2問は短期意思決定のリニア・プログラミングより出題されました。2問形式は、数年前の過去問を見ると出題はあまりなく、最近になって増えてきたように感じています。

■出題の特徴

 今まで工業簿記で出題されていた工程別総合原価計算が出されたことに一瞬驚いた受験生もいたのではないかと思いますが、問われている内容は、さほど難しいものではなかったので、全問正答とまではいかないにしても高得点は狙えたのではないでしょうか。
 第2問のリニア・プログラミングについては、オーソドックスな内容でかつ、難易度も高くないことから第1問と同様に高得点もしくは完問を狙えたのではないでしょうか。
 しかし、現状の検定試験制度では、定規の持込が不可になっている事を考えると、受験生には少々酷な問題のような気がします。
 リニア・プログラミングは、試験範囲に入っているため、出題されるのは当たり前の事ですが、試験制度上の不都合により点数が取りにくくなることは、受験生が不憫に思います。試験委員と打ち合わせをして受験生にとって受験しやすい環境を整えてもらいたいです。

■アドバイス
 出題の意図を推測すると、受験生が多岐にわたり理解しているか問うため、2問形式で異なる内容の問題になっていると思います。
 今後も、複数の単元から出題されることが予想されますので、日頃からどの単元が問われても出来るよう各項目の基本的な考え方を理解し、その上で問題演習を行うようにする必要があると思います。


 

2級

日商簿記検定2級講座 講 師 加藤 大吾


〔解答: 商業簿記(第1問〜第3問)工業簿記(第4問〜第5問)
〔解説: 商業簿記(第1問〜第3問)工業簿記(第4問〜第5問)

【講評】
 受験生の皆様、お疲れ様でした。
今回の出題のレベルとしては、平均的なレベルの出題でした。

■出題の特徴
〔第1問〕
 仕訳問題は、基本的な仕訳を問うています。


〔第2問〕
 伝票会計に関する問題です。一部推定する箇所があるので、各帳簿より伝票の記入面との関連性が読み取れるかがポイントです。


〔第3問〕
 本支店合併財務諸表の作成に関する問題です。決算整理事項も一般的な項目ですので、期首及び期末の内部利益が計算できるかどうかがポイントです。


〔第4問〕
 部門別計算に関する問題です。直接配賦法の配賦基準を読み取れることと、部門別配賦率・総括配賦率の意味を理解しているかどうかがポイントです。


〔第5問〕
 工程別総合原価計算に関する問題です。第1工程終了後に半製品に振り替える部分があるので、適切に処理できるかがポイントです。

■合格点をとるポイント
第123回の検定試験で合格点をとるためには、〔第1問〕で12点(3問)以上、〔第2問〕で14点以上、〔第3問〕で12点以上、〔第4問〕で16点以上、〔第5問〕で16点以上を取る必要があると思います。

■アドバイス
 商業簿記については、繰延資産、社債、株式会社会計などで、計算方法や勘定科目が変更になった点について、出題が予想されますので、正確な知識をインプットする必要があります。
 また、最近の傾向として「過去問に類似した出題傾向」と「過去問には見られない新しい傾向」の両方の傾向が見られますので、単に暗記するような勉強ではなく、「なぜ、こうなるのか?」と常に念頭に置きながら、理解を中心にするような勉強が必要になると思われます。
 工業簿記についても、標準原価計算・CVP分析・直接原価計算等の出題が最近目立ってますので、全体像をイメージしながら、その他の論点についても過去の出題傾向を参考にして網羅的に対策する必要があります。

 

3級

日商簿記検定3級講座 講 師 土居 久豊


解答〕 〔解説

【講評】
 受験生の皆様、お疲れ様でした。
 今回の試験における総論は、一部難度の高い設問が見受けられるものの落ち着いて取り組む事により合格点を得る事ができる出題という印象を受けました。
 以下、設問毎の講評を述べます。

■出題の特徴
〔第1問〕仕訳
  3.事務用文房具について、勘定科目の選択により消耗品費勘定を用いる点に注意が必要です。また、5.における商品の店主による自家消費について仕入の取消しと気付けたかがポイントであると思います。

〔第2問〕商品売買に伴う補助簿及び明細表の作成等
 当座預金出納帳の記入問題は、近年の出題がなされていなかったため、戸惑った受験生も多かったと思います。また、商店ごとの買掛金の増減並びに売掛金の残高を求めているため、やや複雑な印象を受けますが、
 本問は、取引日毎の仕訳を行い、落ち着いて解答を進めることで、正答が得られたものと思います。

〔第3問〕残高試算表作成
 頻出の残高試算表作成問題です。例年に比して明らかに処理量が少ないため難度が低く、集計ミスに留意しながら落ち着いて解答を進めることで高得点が得られると思います。

〔第4問〕伝票記入
 出題率の高い伝票記入に関する問題です。処理方法が問題文に明示されているため、多くの受験生が高得点を得られたと思います。

〔第5問〕精算表の作成
 典型的な精算表の推定(空欄補充)問題です。精算表の推定は苦手とする受験生が多いものの、過去の出題によって頻繁に問われている形式ですので、対策が出来ていた受験生にとっては高得点を得られたと思います。

■各設問の合格点の目安と合格率
 今回の本試験で合格点を得るために必要な各設問の得点の目安は、第1問で12点、第2問で6点、第3問で24点、第4問で4点、第5問で24点とします。
 また、合格率は、例年との比較から30%を超える程度と予測します。

■アドバイス
 受験生を大きく大別すると、解答の出し方(解き方)だけを覚えた方。解答にいたるプロセスを理解している方に別れます。
 前者は、第1問の5.や第2問の様な過去問であまり触れた事のない設問を解けない傾向があります。後者は、題意を明確に捉え正答にたどり着く可能性が高いと思います。
この差は、上位の級さらには税理士、公認会計士と高レベルな試験になるほど大きいものです。

 学習項目の本質を理解する丁寧な学習は慣れるまでにやや時間がかかります。ですから、遠回りな気がし、つい面倒になり解き方の暗記に走る受験生もいらっしゃるようですが、結果的には、最も効率的かつ効果的な学習だと私は断言します。

 

 

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