単科講座TOPへ (単科講座は,社会人の方や,大学生のダブルスクール等のための講座です。)
東京CPA会計学院トップ
CPAビジネスゼミナール CPA会計士ゼミナール 学校紹介
CPA税理士ゼミナール
資料請求
簿記
 

単科講座TOPへ

 

第138回 日商簿記検定試験

『講評・模範解答(予想配点箇所を含む)・解説』

1級】 【2級】 【3級

「本講評・模範解答(予想配点箇所を含む)・解説は、東京CPA会計学院・CPAビジネスゼミナールの講師陣並びにスタッフが作成したものであり、模範解答並びに予測配点箇所について、日本商工会議所における実際の解答並びに配点箇所との整合性を当校は何ら保証致しかねます。」

Adobe Reader のダウンロード※解答・解説は、PDFファイルとなっております。こちらのWEBサイトより Adobe Reader のダウンロードをお願い致します。


 

1級

 商業簿記
日商簿記検定1級講座 商業簿記 講 師 山内 樹


解答〕 〔解説

【講評】
 受験生のみなさんお疲れ様でした。
 商業簿記は、決算整理後残高試算表を問う問題でした。会計学と併せて考えるとボリュームは、標準的でしたが、一つ一つの処理は細かい内容や文章を正確に読まないと解答できない内容でした。その点において、注意力も問われる良問だったと感じます。

■出題の特徴
 リース取引の中途解約、予定取引等は細かい内容でしたが、退職給付会計、新株予約権付社債、減価償却、為替予約の振当処理等については、基本的な処理を問われているためしっかりと解答できて頂きたいです。

■アドバイス
 今後の学習については、今回新しく出題した単元も決算だけの処理ができて終わりにせず、翌期の開始手続、期中手続及び決算手続まで繋げて学習して頂くと学習効率は上がります。
 日頃の学習では個々の処理に重点が置かれ、全体が見えなくなるケースも少なくないと思いますが、常に頭の中には全体像をイメージしながら学習にあたって頂くと、この複式簿記はより面白くなると思います。


 会計学
日商簿記検定1級講座 会計学 講 師 鯖江 悠平


解答〕 〔解説

【講評】
 検定試験お疲れさまでした。
 理論問題は、基本的な内容であり計算と結びつく論点が数多くあるため、比較的解答しやすかったと思います。
 計算問題については、基準が公表されて初めての出題である包括利益計算書についての問題でした。その他有価証券評価差額金については、基本的内容ではありますが、初見のため見た瞬間に動揺した方もいらっしゃったのではないでしょうか。また、在外子会社の換算にかかる為替換算調整勘定について、売却を予定した税効果など非常に細かいところまで聞かれていたように感じます。

■アドバイス
 最近の計算の傾向として、連結会計を取り上げた問題が数多く出題されています。その中でも一部については、重箱の隅をつつくような箇所もあります。
 その反面、理論問題については、計算と理論が結びつく論点からの出題が多く、両者が表裏一体であるということが伺えます。
 これから複式簿記を学んでいく中で、計算の裏付けには根拠があるということを念頭におき学んで欲しいと思います。


 工業簿記
日商簿記検定1級講座 工業簿記 講 師 松葉 崇史


解答〕 〔解説

【講評】
 検定試験お疲れ様でした。
 今回の工業簿記は標準原価計算からの出題であり、材料受入価格差異の把握と歩留・配合差異を含めた差異分析を中心とした問題でした。問われていることはごく基本的な内容ですので、ケアレスミスをなくし、基本的な理解ができていれば高得点が狙える問題であったかと思います。 
 ただ、材料受入価格差異を「購入原料価格差異」とし、操業度差異を「不働能力差異」とするなど普段聞きなれない用語を用いている傾向が強いと感じました。こういった不慣れな用語が出題されたとしても、焦らず確実に解き進められるようにしてください。

■出題の特徴
 第1問と第2問の2題構成であり、近年の出題傾向と同様に理論問題と計算問題の出題でした。計算・理論ともに難易度は低いため、第1問の計算で15点、第2問の理論で5点は最低限確実に確保していただきたいところです。

■アドバイス
 出題内容は基本的なものでしたが、一連の流れを確認できる問題であったかと思います。また、計算では差異分析の金額を問い、理論では仕掛品勘定の記入方法とその特徴を問うています。
 このことから、単元ごとに理論と計算を結びつけ、理解を深めながら今後の学習を進めていただければよいと思います。


 原価計算
日商簿記検定1級講座 原価計算 講 師 松葉 崇史


解答〕 〔解説

【講評】
 検定試験お疲れさまでした。
 今回の原価計算は、第1問が原価計算基準の穴埋め問題、第2問で標準直接原価計算から計算問題としての出題でした。工業簿記も含め、比較的解き易い問題だったと思います。
 試験全体を考えると、商業簿記、会計学が骨のある問題なだけに工業簿記、原価計算でどれだけ点数を拾えるかが合否の境目だったのではないでしょうか。

■出題の特徴
〔第1問〕
 原価計算基準穴埋めの選択肢問題でした。普段から原価計算基準に目を通していれば容易に解答できると思います。

〔第2問〕
問1
 CVP分析を問う問題でした。損益分岐点売上高、目標営業利益を算定する際に、貢献利益を用いて固定費を回収していくという考え方がポイントになります。
問2、3
 予算統制を問う問題でした。問3の差異分析では、販売量を基準に分析する差異、製造量を基準に分析する差異を区別することができるかがポイントとなります。具体的な差異は解説を参考にしてください。
問4
 全部原価計算と直接原価計算の違いを問う問題でした。全部原価計算と直接原価計算とでは、原価差異の金額(製造間接費に関する差異)にも差異が出てくることに留意してください。

■アドバイス
 最近の試験の特徴として、必ず理論と計算を問う内容になっています。
 工業簿記、原価計算は、特に計算に目が行きがちなため、原価計算基準の理解や計算過程の理屈がおろそかになりがちです。計算式だけを押さえていくような勉強の仕方は、同じ問題であれば解けるけれども、言葉の言い回し、資料の出し方を変えられるだけで太刀打ち出来なくなります。
 ただ数字を追っていくような勉強ではなく、ものの考え方、理屈を押さえる学び方を心掛けることにより、計算と理論を同時に学ぶことができ、かつ、学習効率も上がると同時に本物の自分の力として身に付くのではないでしょうか。


 

2級

日商簿記検定2級講座 講 師 加藤 大吾


〔解答: 商業簿記(第1問〜第3問)工業簿記(第4問〜第5問)
〔解説: 商業簿記(第1問〜第3問)工業簿記(第4問〜第5問)

【講評】
 第138回の検定試験では、第2問において2級で初めて株主資本等変動計算書の出題があり、多くの受験生は戸惑う場面もあったかと思います。
 その影響で、第1問の仕訳問題や第5問の総合原価計算が過去問に比べてかなり解きやすい問題が出題されていますので、全体的には平均的なレベルの出題と思われます。
 よって、第2問の影響により、今後合格率がどのような結果となるのか注目されます。 

■出題の特徴
〔第1問〕
 仕訳問題は、過去問に比べて易しいレベルの出題ですので、高得点が期待できます。

〔第2問〕
 株主資本等変動計算書の作成に関する問題です。「吸収合併」を除き、期中仕訳は基本的なレベルの出題ですが、株主資本等変動計算書を初めて解く受験生もかなり多いと思われます。しかし、答案用紙の解答欄にあらかじめ印刷された数値や(  )で解答すべき箇所が示されており、解答しやすくするための配慮も感じられますので、部分点を狙いたい問題です。

〔第3問〕
 貸借対照表に関する問題です。決算整理事項はやや多い出題となっています。また、減価償却や前払費用(保険料)など、簿記の一巡における期中仕訳と整理仕訳とは異なり、実務上見られる処理によっているので注意が必要です。よって、粘り強く解答を埋めていく必要があります。

〔第4問〕
 個別原価計算に関する問題です。基本的なレベルの出題ですので、落ち着いて解答すれば高得点が期待できる問題です。

〔第5問〕
 減損を含む単純総合原価計算に関する問題です。「完成品のみ負担」又は「両者負担」を判断できるかがポイントですが、ぜひ完答したい問題です。

■各設問の合格点の目安
 第138回の検定試験で合格点をとるためには、〔第1問〕で16点(4問)以上、〔第2問〕で8点以上、〔第3問〕で14点以上、〔第4問〕で16点以上、〔第5問〕で16点以上を取る必要があると思います。

■アドバイス
 商業簿記については、最近の傾向として「過去問に類似した出題傾向」と「過去問には見られない新しい傾向」の両方の傾向が見られますので、単に暗記するような勉強ではなく、「なぜ、こうなるのか?」と常に念頭に置きながら、理解を中心にするような勉強が必要になると思われます。
 工業簿記については、過去問題を中心に幅広く対策する必要があるとともに、直接原価計算や標準原価計算などの論点に関して十分に対策する必要があります。

 

3級

日商簿記検定3級講座 講 師 鯖江 悠平


解答〕 〔解説

【講評】
 受験生の皆様、検定試験お疲れ様でした。
 各問の講評を、以下で具体的に確認していきたいと思います。

■出題の特徴
〔第1問〕
 仕訳問題は過去問と類似の問題がほとんどであり、基本的な内容であるため高得点が狙える問題だと思います。

〔第2問〕
 商品有高帳の作成に関する問題です。商品有高帳の作成については、しっかり解答してほしいと思います。

〔第3問〕
 合計残高試算表を作成する問題です。この問題については、二重仕訳に注意していただければ問題ないと思います。

〔第4問〕
 伝票の記入方法についての問題です。この問題については、起票方法を読み取ることができれば完答できる問題であると思います。

〔第5問〕
 財務諸表の作成に関する問題です。基本的な内容ですのでしっかり解答して欲しいと思います。

■各設問の合格点の目安
 今回の本試験で合格点を得るためには、第1問で12点以上、第2問で6点以上、第3問で24点以上、第4問で8点以上、第5問で21点以上取る必要があると思われます。

■アドバイス
 日商簿記検定3級の試験は、過去問さえ解いていれば十分合格点が狙える試験です。
 しかし、今回の財務諸表を作成する問題のように、久しぶりに出題された問題について解答できなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 過去問を解きパターン学習により合格することも可能ですが、せっかく学ぶのであれば、自分の力になるよう考える学びにしていただければよいと思います。

Copyright (c) Tokyo CPA Accounting College All Rights Reserved.