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第144回 日商簿記検定試験

『講評・模範解答(予想配点箇所を含む)・解説』

1級】 【2級】 【3級

「本講評・模範解答(予想配点箇所を含む)・解説は、東京CPA会計学院・CPAビジネスゼミナールの講師陣並びにスタッフが作成したものであり、模範解答並びに予測配点箇所について、日本商工会議所における実際の解答並びに配点箇所との整合性を当校は何ら保証致しかねます。」

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1級

 商業簿記
日商簿記検定1級講座 商業簿記 講 師 山内 樹


解答〕 〔解説

【講評】
 受験生のみなさんお疲れ様でした。
 商業簿記は、決算整理後残高試算表を作成する総合問題でした。
 商品売買以外の整理事項は基本的な内容であるためミスすることなく解答し、商品売買でどれだけ得点を積上げられるかがポイントになったと思います。

■出題の特徴
 商品売買は、一般商品売買、特殊商品売買に外貨建取引を組み合わせた問題であり、さらに解答にあたっては、貸借平均の原理を用いた勘定分析の力を要求されました。商品売買の本質を捉えた非常にいい問題だったと思います。制限時間内に解けなかった方も時間をかけてじっくり甲商品の仕入単価を計算して頂ければと思います。
 それ以外の整理事項等は、過去にも出題された基本的な内容でした。

■アドバイス
 複式簿記は「勘定の学」と言われるように、日頃から仕訳で満足することなく勘定記入まで意識をもって学び、さらに複式簿記の一巡(全体像)に個別の取引を結び付けて学ぶと、ボリューム感を感じることなく頭の中が整理され、効果的な学びができます。
 そのような学び方をしていると、本問のような商品売買の本質を問われる問題にも対応できるかと思います。


 会計学
日商簿記検定1級講座 会計学 講 師 杉山 亜夢里


解答〕 〔解説

【講評】
 検定試験お疲れ様でした。
 今回の問題は、空欄補充及び連結会計に関する問題が出題されました。難易度は例年に比べ、あまり高いものではないため、いかに正確に解答していくかがポイントとなります。商業簿記に時間がかかることが想定されるため、会計学は正確かつスピードが要求される問題となります。

■出題の特徴
〔第1問〕
 空欄補充は、連結上の退職給付、圧縮記帳、耐用年数の変更の論点が出題されました。連結上の退職給付は改正後初めての出題でしたのでとまどった受験生も多かったと思います。圧縮記帳は定率法による償却を行っているため、積立金の取崩し額等の計算に注意が必要です。また、耐用年数の変更は、会計上の見積りの変更は慣れている受験生が多いと思いますが、誤謬の訂正の場合、過去の減価償却費の修正が必要となります。

〔第2問〕
 連結会計に関する問題です。子会社の貸借対照表に評価・換算差額等が計上されているため、資本連結(投資と資本の相殺消去)や変動額の非支配株主持分への振替などに注意が必要です。なお、追加取得した場合、追加投資額と非支配株主持分の減少額との差額は改正によりのれんではなく、資本剰余金として計上されることとなります。

■アドバイス
 過去に比べてボリュームの多い問題や内容の細かいものも出題されるようになってきています。内容の細かい点を学習することも大切ですが、なにより大切なのは基本の論点をしっかりと出来るようになることであり、特に他の受験生が正答している基本的な箇所を解答できないことは何よりも避けるべきです。これからの学習にあたっては、各論点の基本的な考え方を学習し、さらに肉付けしていく形で応用的な論点を学習していくことがポイントとなります。


 工業簿記
日商簿記検定1級講座 工業簿記 講 師 松葉 崇史


解答〕 〔解説

【講評】
 検定試験お疲れ様でした。
 工業簿記は、標準原価計算の理論及び原価差異の追加配賦に関する出題でした。仕掛品勘定の記入方法、差異分析などオーソドックスな論点も問われています。問題文に端数処理の指示がないなど、説明が足りない点もありましたが、落ち着いて解き進めれば、合格ラインに達するのではないでしょうか。

■出題の特徴
〔第1問〕
 標準原価計算の有用性に関する語句の記入となります。標準原価計算の目的を理解できているかがポイントでした。

問2
 標準原価計算の勘定記入及び差異分析を問うています。オーソドックスな差異分析の問題から追加配賦を原料ごとに行っていきます。各原料の投入地点が異なるため、月末仕掛品の標準消費量を算定するための在庫量が変化します。具体的には原料が平均的投入の場合、加工進捗度を考慮した加工換算数量をもとに標準消費量が算定されます。始点発生の場合と同じように考えないようにしてください。

■アドバイス
 標準原価計算が出題されたときは必ずと言っていいほど差異分析の計算を問われます。そのため、普段の学習も原価差異の分析の計算が先行してしまい、分析した差異は本来何に用いていくのか、そもそもなぜ原価差異を分析するのかという標準原価計算の本質の理解が後回しになってしまいがちです。会計は実務から生まれた学問であり、原価差異の分析も実務での必要性から生じたものになります。これを理解せずにただ算式を覚えて答えが出せても、何も意味がありません。ですから、一つ一つの会計処理や計算の考え方を理解しながら学んでいってください。


 原価計算
日商簿記検定1級講座 原価計算 講 師 緒方 将大


解答〕 〔解説

【講評】
 検定試験お疲れ様でした。
 今回の原価計算は、基本的な構造的(長期)意思決定と、事業部制組織を絡めた業務的(短期)意思決定の問題でした。
 本問の場合、ごく基本的な構造的意思決定が理解できていればよかったので、第1問についてはほぼ完答できた人が多いのではないでしょうか。第2問も、あまり過去に問われたことのない論点ですが、難題というほどではありません。
 したがって、第1問ではほぼ完答し、第2問では1と2がとれていればよいかと思います。

■出題の特徴
問1
 構造的意思決定の問題です。両投資案を比較させ、評価方法の計算ができるかを問うとともに、意思決定の結論がどうなるかを横断的に問うています。簡単な問題ですので、ぜひ完答していただきたいところです。ただし、問6の5については解答できなくても問題はないかと思います。

問2
 業務的意思決定の問題です。差額原価となる変動費、埋没原価となる固定費の関係を理解して1と2を解答し、事業部の振替価格に関する理解を加えて3〜6を解答しなければなりません。振替価格に関して深く学んでいる人は少ないと思いますので、1と2ができていればよいかと思います。できなかった問題は今後の学習を深めるために役立ててください。

■アドバイス
 今回の原価計算は、内容は基本的で、解きやすい問題だったと思います。しかし、第2問の戦術的意思決定のように、よく考えなければならないような問は、受験生の苦手とするところだと思います。解き方を覚えるパターン学習では対応できない問題が原価計算には多いので、常に「考える」姿勢で学習するようにしていただきたいと思います。
 そのため、今後の原価計算の学習方法として、計算方法を問う個別問題が理解できたら、考え方を問うような総合問題(過去問題、模擬問題)などを「考えながら」解かれることをおすすめします。


 

2級

日商簿記検定2級講座 講 師 商業簿記:鯖江 悠平
工業簿記:三村 拓矢


〔解答: 商業簿記(第1問〜第3問)工業簿記(第4問〜第5問)
〔解説: 商業簿記(第1問〜第3問)工業簿記(第4問〜第5問)

【講評】
 検定試験お疲れ様でした。
 第144回の検定試験では、第1問及び第2問がやや難しいですが、その他の問題が基本的な問題であったため、全体的には平均的なレベルの出題と思われます。

■出題の特徴
〔第1問〕
 仕訳の問題です。固定資産の売却、クレジット販売、有価証券の追加取得については確実に正答してほしい問題です。ソフトウェアについては文章をしっかり読めれば解答は可能ですが、初めての勘定科目が用いられているため、正答は容易ではないと思います。

〔第2問〕
 商品売買に関する問題です。商品の流れを正確におさえ、値引きや割引などの会計処理を理解しているか幅広く問われています。そのため問題の難易度としてはやや高めですが、解答できるところをしっかり解答してほしいと思います。

〔第3問〕
 精算表の作成に関する問題です。目新しい内容もありませんのでしっかり解答し、得点源にしていただきたい問題でした。

〔第4問〕
 材料費を中心として、製品製造原価を勘定で計算する問題です。実際に工場で各原価要素が消費され、製品の製造原価の計算に算入されるまでの一連の流れをイメージできるかどうかがこの問題を解くうえでのポイントになったのではないかと思います。

〔第5問〕
 投入原料が2種類ありそれぞれの投入形態が異なる場合の単純総合原価計算の問題です。ケアレスミス等がなければ、満点が狙える問題ではないかと思います。また、最後の完成品総合原価を算出する際に、仕損品の評価額を控除することを忘れないよう注意する必要があります。

■各設問の合格点の目安
 今回の本試験で合格点を得るためには、第1問で12点(3問)以上、第2問で10点以上、第3問で16点以上、第4問で12点以上、第5問で20点取る必要があると思われます。

■アドバイス
 商業簿記については、改正後2度目の試験であり、じわじわと改正された点が多岐にわたり出題されているように感じます。初見の問題でも取引の内容をしっかり理解できていれば解答はできると思います。
 工業簿記については、得点源になる問題であると思います。できる限り満点近い点数を狙ってほしいところです。そのためには取引の本質を理解する学びを行ってほしいと思います。
 商業簿記も工業簿記も、自分なりの納得する理屈を考えながら学習を進めていただきたいと思います。資格を取る事ばかりに目を向けず、絶えずその先の仕事を見つめて最終的には社会に貢献できる素晴らしい人財になりましょう。

 

3級

日商簿記検定3級講座 講 師 鯖江 悠平


解答〕 〔解説

【講評】
 受験生の皆様、検定試験お疲れ様でした。全体的には平均的な内容であると思います。
 各問の講評を以下で具体的に確認していきたいと思います。

■出題の特徴
〔第1問〕
 仕訳に関する問題でした。文章を読み、落ち着いて考えれば完答もできたのではないかと思います。

〔第2問〕
 固定資産に関連する総勘定元帳の推定に関する問題でした。取得日及び期間をしっかり確認できたかどうかがこの問題でのポイントになると思います。

〔第3問〕
 合計試算表の作成に関する問題でした。本問は、現金、普通預金、当座預金を使い分けているため、この3つの使い分けをできたかがポイントであると思います。

〔第4問〕
 伝票に関する問題でした。仕訳日計表は合計試算表の一種であるということを理解できていたかどうかがポイントであると思います。

〔第5問〕
 財務諸表の作成に関する問題でした。最近では頻繁に出題されており、内容としても平均的な内容であるため、ケアレスミスなく解答できたかがポイントであると思います。

■各設問の合格点の目安
 今回の本試験で合格点を得るためには、第1問で12点(3問)以上、第2問で4点以上、第3問で24点以上、第4問で6点以上、第5問で24点以上取る必要があると思われます。

■アドバイス
 3級の試験は、内容は難しいところは少ないため、いかに早く・正確に会計処理を行うことができるかが合否の分かれ目になると思います。また、試験に合格することだけを考えれば、第3問は仕訳を切って答案を作成すれば合格点を採ることは可能だと思います。しかし、複式簿記は本来、勘定の学問であることを忘れてはいけません。そのため、仕訳だけではなく、勘定記入までしっかり行い、解答を作成していただければ複式簿記の勘定の構造や体系がより分かると思います。参考までに第3問の解説は勘定で作成していますので、今後の学習にいかしていただければ幸いです。

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