| 本試験講評
受験生の皆様、本試験おつかれさまでした。
財務会計論は例年どおり32問出題され、計算問題が22問、理論問題が10問という構成となりました。また、前回(平成22年第T回)と比較して計算問題の比率が若干低くなりました。
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財務会計論・計算問題に関しては、従来どおりの短答形式の問題(9問、簿記の理論問題を含む)に加えて、問題19以降、総合問題形式の出題が本社工場会計に関する総合問題(7問)と企業結合・事業分離に関する総合問題(6問)の2本立てとなりました。
過去と比較すると、容易に解答できる問題が少なく、難易度の高い、細かい内容の論点の出題が多く、総じて解きづらいという印象があったのではないかと思われます。
個別に見ていきますと、以下のような特徴が挙げられます。
1.過去の試験問題の傾向を踏襲して、問題の出題量を減らす問題が増えていると同時に、基本的な事項を問うている問題が多く見られます。また、問題7(有価証券)、問題10(キャッシュ・フロー見積法)、問題13(リース)は短時間で解答可能な問題です。また、問題16(減損会計)についてもぜひ拾いたい問題です。
このような基本的な問題を必ず得点するようにする必要がありますので、問題を見極めが非常に重要です。
2.問題3(固定資産)については、問題の題意が掴みづらく、会計基準とは異なる言い回しをしている(使用価値=利用価値、正味実現可能価額=正味売却価額)ので解きづらかったと思われます。
また、問題5(仕訳問題)について、アの解約時に返還されない保証金は、税務上の繰延資産に該当するので、長期前払費用として処理する点や、エの圧縮額は保険差益相当額である点、さらにオの定額法から定率法へ変更した場合、当初の耐用年数を使用するので、実質的に耐用年数が延長されるという論点は、いずれも税法の知識を問う問題が出題されました。
さらに、問題15(税効果会計)については繰延税金資産の回収可能性について、監査委員会報告第66号の細かい規定を問う問題であり、ここまで理解している受験生は皆無であると思われますので、合否に影響はないと思われます。
3.問題19〜25の本社工場会計に関して、原価計算以外の部分については非常に容易なレベルですので、必ず得点する必要がありますが、原価計算に関する部分については解答できる受験生は少ないものと思われます。
付言すれば、問題23(有価証券)や問題24(退職給付)について、それ以前の問題7及び問題14で同じ論点の問題があるにも関わらず再度出題している意図が理解できません。(基本的な論点を「幅広く出題する」という短答式試験の役割とは乖離しているものと思われます。)
4.問題26〜32の企業結合・事業分離に関して、株式移転・共同支配企業の形成・吸収分割から出題されました。問題31と問題32はぜひ得点したい問題ですし、問題30については、問題文より持分変動利益がいくら算定されるかが分かれば、感覚で解ける可能性がありますので、最後まで諦めずに、問題の見極めが重要であると思われます。
今後の計算問題の対策としては、普段から仕訳や計算方法を暗記してしまうのではなく、あるべき結論(仕訳を行った結果)の本質を理解する必要があるものと思われます。そのように対策を行えば、どのような出題がなされたとしても、対応できる能力は身につくものと考えられるためです。
また、本質の理解は公認会計士の資質を確認する上でも求められ、合格後の実務上でも求められる非常に大事な能力でもあります。
当校においては、従来より暗記に頼らずに考え方の本質をおさえるという指導方針を貫いておりますが、闇雲に問題演習や解説に記述されている解き方だけを覚えたりするような誤った勉強方法をしている受験生も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
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財務会計論・理論問題に関しては、容易に解答可能な問題もありますが、中には解答を出すのが困難である難問も数問出題されました。平成21年度・平成22年度(第T回)と比較すると難易度は若干上昇しています。
具体的な問題構成は以下のとおりとなります。
@会計基準等をおさえていれば、比較的容易に解答可能な問題(7問)
問題4・問題9・問題11・問題12・問題17・問題18・問題29
A通常、受験生が時間をかけないような細かな規定にまで踏み込んだ問題(1問)
問題2
B解答を出すことが極めて困難であり、合否には影響を与えない問題(2問)
問題6・問題8
@のうち、問題4(取得原価主義)、問題11(ストック・オプション)、問題12(リース)、問題17(セグメント情報)、問題18(企業結合)、問題29(共同支配企業の形成)についてはいずれも基本レベルの問題なので、完答する必要があります。
問題9(財務諸表)については、若干細かい内容が問われている肢もありますが、3の肢が明らかに誤りであるので、他の肢の正誤が分からなくても3と解答できた受験生は意外に多いのではと予想します。
次にAについてですが、問題2では、「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」から出題されました。この規定を読み込んでいた受験生はほとんどいないと思いますが、国際会計基準へのコンバージェンスについては何かとメディア等でも取り上げられている論点であり、また、文章の言い回し等からなんとなく正誤を判定して正解できた受験生もいたかもしれません。全く太刀打ちできない問題ではありませんが、できなくてもさほど気にする必要はないでしょう。
Bのうち、問題6は引当金、問題8は期間損益計算からの出題ですが、ひっかけ方があまりにも細かすぎであり、また、考え方次第では○にも×にも取れる肢が複数あるため、通常の受験生では解答が困難な問題となるでしょう。このような問題を正解するには「運」しかありませんが、職業的会計人たるにふさわしいかどうかを試すための公認会計士試験において、「運」により受験生の合否が決められてしまうのはいかがなものかと思います。
今後の財務会計論・理論問題の試験対策としては、毎回の繰り返しですが、会計基準等の正確な理解が求められます。ただ闇雲に基準の読み込みや問題集の繰り返しをしていたって、何も意味がありません。「どうしてこうなるのか」という点を常に意識しつつ学習するように心がけてください。
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財務会計論200点満点中、合格のために必要な得点は128点程度(得点率64%)と考えます。
※ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA会計士ゼミナールが独自に作成したものであり、実際の解答との適合を保証致しかねます。なお、掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。以上の事項を予めご承認の上、ご利用下さい。
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