法 人 税 法
主任講師:鈴木 栄樹
1.はじめに
 受験生の皆さん、お疲れさまでした。今年も税理士試験が終わりました。
今年の試験は、猛暑の中での受験になり、例年以上に疲れたのではないでしょうか。
実力が発揮できた人、不本意に終わった人など様々な感想を持っている人がいると思われますが皆さんはどうだったのでしょうか。
 例年どおり今年も税理士試験を振り返ってみました。
2.全体の印象及び解答上のポイント
〔第一問〕
問1について
 今年も法人税法第22条をテーマにした問題が出題されました。具体的には、土地の譲渡に係る収益費用の計上時期について、考えられる処理案を3つ考え、その考え方を問う内容でした。
 基礎的な問題ではあるものの、答えるべき処理案の数が答案用紙で指定されており、さらにそれぞれの処理案についても、その処理に至った事実関係や法的な理由・考え方など答えるべき内容も指定されていますから、難しく感じる問題だったと思います。
 処理案をしっかり挙げられたかがポイントになると思われます。

問2について
 公開買付けによる自己株式の取得をテーマにした問題です。受験生にとっては想定された問題でしたから、変に難しく考えなければ、解答すべき内容はしっかり判断できたのではないでしょうか。
 発行法人と株主のそれぞれの取扱いを数値を使いながら的確に解答できれば、得点できると思います。

〔第二問〕
 形式については、 昨年同様、申告調整のみで所得金額と法人税額を計算する問題でした。
 第二問は、位置づけは「計算問題」ですが、内容的には、ほぼ理論問題といっても良いくらいの内容でした。出題項目すべてについて判断の根拠を理論的に解答していくことが要求されているのは、昨年同様ですが、よりその傾向が強くなっています。
 出題項目については、ある程度予想されているものから多く出題され、受験生にとっては「組みやすい問題」ではなかったかと思います。したがって、ある程度得点できる受験生が多いと思いますが、コメントの採点のされ方、ケアレスミスで点差は意外と開くかもしれません。

出題項目の具体的な印象は、次のとおりです。
1)数値もコメントもしっかり答えたい項目
@欠損金の繰戻し還付、A試験研究費の特別控除、B役員給与、C交際費
 これらの項目は、数値を求めるのもさることながら、判断の根拠などのコメントも比較的難易度は高くないと考えられますからコメントもしっかり書きたい項目です。

2)コメントで勝負したい項目
@現金の使い込みの問題、A子会社への低額譲渡、B子会社への資産の贈与
 これらの項目は、難易度は低くないのですが、判例・事例の学習で取り上げられるような項目のため、比較的対応できる項目だったと思われます。
 したがって、単に結論だけでなく、理由や考え方をしっかり解答してほしい項目と考えます。

3)少し難易度が高い項目
@減価償却資産、A100%減資
 減価償却資産についての有姿除却と 100%減資については、間違えても許容範囲かと思われます。


3.合格ボーダー予想
 第一問は、問2で得点を稼いで、問1の処理案はどれだけ的確に挙げられたかがポイントになると思います。
 第二問は、上記2の1)で得点を稼いで、2)3)でどれだけ得点できるかがポイントになると思います。

 第一問  合格ライン33点(合格確実ライン38点)
 第二問  合格ライン30点(合格確実ライン35点)

 以上の合計で 63 点が総合の合格ラインとなり、合格確実ラインは73点以上と予想されます。
4.来年度以降の受験アドバイス
 法人税の試験はここ数年で出題形式が大きく変わりました。
 理論については、規定の内容を暗記してそれをひたすら解答する形式は完全に排除され、規定がどのように適用されるか、また、取扱いの理由を答えさせるなど、より実践的で法人税法の理解度が試される出題になっています。
 計算についても、単に数値だけを算出するのではなく、解答に至る過程を重視しており、必要に応じて解答理由をコメントするなど計算にも理論的要素が含まれるようになっています。
 これらを踏まえて、今後は法人税の基本的な考え方をよりいっそう理解し、各規定の使い方や考え方などをしっかり理解する学習が必要と考えます。

解答(理論) - 解答(計算) -  解説 -



※ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、実際の解答との適合を保証致しかねます。また、掲載内容は平成22年8月6日現在のものであり、今後予告なく変更を行う場合もございます。なお、掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。以上の事項を予めご承認の上、ご利用下さい。