相 続 税 法
主任講師:島崎 悟
1.総評
 受験生の皆様大変お疲れ様でした。
 理論問題は、出題可能性が高いといわれている規定からの出題ですので合格ラインは高めに設定されると思われます。
 計算問題は、財産評価が難しく、最終値の正解者はほとんどいないと思われるので、基本的な箇所を拾い、かつ、財産評価がどこまで解答できたかによると思われます。
 また、宅地・R社株式の課税価格算入額や小規模宅地等の減額金額を正解することが難しいことを考えると、極端に合格ラインが低くなるか計算過程に部分点を与えるかのいずれかになると思われます。
 特に後者の場合には、ある程度以上の計算過程がないと採点されない可能性があるため、最近の問題では、答案作成能力が問われる問題かと思われます。

2.全体の印象及び解答上のポイント
〔第一問〕
問1
 重要性の高い物納であったため、覚えていない人や書けない人は論外です。最低限の解答範囲として物納の要件(法41@ACD)、物納の手続(法42@)特定物納(法48の2@)を挙げて欲しいです。(具体的には解答の下線部分)
 Aについては、本問では「適用手続き」とあるだけで、申請者及び税務署長のいずれの者における手続かを明確にしていないので解答としていますが重要性は低いものと考えて構いません。
 Bについては、問題では、その解答範囲について指定がないため基となる内容の他、@及びAで説明した要件及び手続について通常の物納と異なる点のみを解答し、分量を考えると@及びAで説明した記述は省略し、異動点を中心に作文でも説明できれば充分かと思われます。
合格ライン21点、合格確実ライン26点

問2
 直前答案練習第2回で出題した問題の類似問題であり、贈与税の非課税規定と相続時精算課税の特例のポイントを掴んでいればそれ程柱上げは難しい理論ではないと思われます。ただし、問題の解答要求だけだと取扱いを正しく理解しているかがわからないため、解説で記述したとおり概要を記述して欲しいところです。概要の記述や相続時精算課税選択届出書の提出以外の記述で最低限の解答範囲となると思われます。
合格ライン16点、合格確実ライン20点

〔第二問〕
 問題演習を通じて宅地MやR社株式(純資産価額の細目)を確認しており、当校における未出題論点は宅地J、孫Gの生前贈与加算の2点だけですが、それを考慮しても尚問題が難しいため、次の箇所の正否が計算のポイントとなると思われます。
※Aは正解必須の箇所、Bはほぼ正解が望ましい箇所、Cは幾つかは正解して欲しい箇所です。

A 法定相続人の数・数に応じた相続分
C 宅地J
C 宅地K
B 建物L
C 宅地M
B 建物N
A P社株式・Q社株式・R社株式
C 同族株主の判定
B 資産の評価(預金、受取手形、売掛金、ゴルフ会員権)
C 資産の評価(土地、借地権、建物、借家権、構築物、開発費、保険契約)
B 負債の評価(貸倒引当金、未払退職金)
C 負債の評価(租税公課)  (注)建物及び租税公課は、端数処理の関係から「C」としています。
A 米国債
A 相続時精算課税
A 債務控除・葬式費用
C 小規模宅地等(宅地M)
C 小規模宅地等(宅地K)
A みなし財産
A 生前贈与加算(孫G以外)
C 生前贈与加算(孫G)
A 各税額計算

なお、金額のうち、R社株式の価額、課税価格及び納付税額はできなくてよいため、それ以外の部分を焦らず出来たかがポイントになると思われます。
Aの全て、Bの8割、Cの5割は正解して欲しいので合格ラインは33点程度でしょう。

3.合格ボーダー予想
第一問 合格ライン 37点(確実ライン46点)
第二問 合格ライン 33点(確実ライン36点)
以上の合計で 70 点が総合の合格ライン、82点が総合の確実ラインと予想されます。

4.来年度以降の受験アドバイス
 今回の相続税法の試験は、久しぶりに実務色の強い財産評価中心の問題となりました。
悪い問題とは言いませんが、理論の解答要求事項がわかり難く解答の柱がわかっても問題の問いどおりで解答を書いて問題はないのか、計算では財産評価の難易度が高すぎるため利用様態の判断や小規模宅地等の特例の取扱いを試験委員が本当に採点できるのかが気になります。
もう少し解答をさせたい点を強調し、また、計算でも基本的な論点と難しい論点の両方を出してほしい気はします。
 今回の傾向がもし続くのであれば、各専門学校のテキストだけでなく、法規通達集や様々な財産評価の実務書を読むなど、計算に対する学習量を増やしていく必要が出てくると思われます。
 ただし、難しい特殊な事案についての学習は、絶対的な基礎の上で成り立っているため、あくまで、基本論点の徹底を繰り返し、その上で、応用的な考え方を身に着けるように意識してほしいと思います。

解答(理論) - 解答(計算) -  解説 -



※ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、実際の解答との適合を保証致しかねます。また、掲載内容は平成22年8月6日現在のものであり、今後予告なく変更を行う場合もございます。なお、掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。以上の事項を予めご承認の上、ご利用下さい。